第179回「感動塾」

【日時】: 令和2年12月12日(土) 18:00開場 18:30開演

 
【会場】: 大阪市中央公会堂 大会議室(南入口より地下1階西側)
 住所 大阪市北区中之島1-1-27
 アクセス 地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」下車①番出口より徒歩5分
       京阪中之島線「なにわ橋」下車①番出口より徒歩1分

 

【「感動塾」講演】  
 樋口 元康 さん  天文研究家
 
【演題】  縄文の宇宙観 (150分)

宇宙に果てはあるのか?
現代を生きる私たちには、138億光年の全方向から届く光があることが解ってきました。
宇宙は1の次に0が26個並ぶメートルまで広がっているのです。
では、そこが宇宙の果てならば、その先はどうなっているのか、何があるのでしょうか。

岐阜県下呂市の金山巨石群。古代人が太陽観測をして暦を読み取った天文台として1997年発見され、観光資産あるいはパワースポットとして注目されています。
巨石群の一隅の石面に7つの小穴が刻まれています。
その形から読み取ると、今から数千年前の縄文時代の人は宇宙をどのように考え、宇宙の果てに何があるのかを伝えていました。
巨石に縄文時代の宇宙観が描かれていたのです。
【募集】 41名 
【会費】 2000円(学生1000円)

※2次会プラス3000円

縄文人の宇宙観
樋口元康


 岩屋岩蔭遺跡
岐阜県下呂市金山町にある岩屋妙見神社。
巨石の隙間から太陽光が射し込み、石洞内に設置された石にスポット光が当たる。毎年同じ日に当たることを、地元の蕎麦打ち職人の小林由来氏が発見し、さらに周囲の巨石にもそれとは違う日に、人為的に加工された石の隙間から太陽光が通り抜けることがわかった。
この場所には、太陽の動きに合わせて暦を読み取る機能があるのではないか。小林氏は国立天文台の研究者を訪ねるが、ストーンヘンジのような開けた場所とは違って、山間の周囲が見渡せない場所では、そのようなことはあり得ない。との返答で最初はそれ以上話を聞いてもらえなかったと小林氏はいう。それでも、自らの手打ち蕎麦を手土産に東京に通って、やっと第一人者の斉藤国治博士を現地見物に取り付けたのであった。
その後2001年に岐阜県が発掘調査をして、8000年前の縄文時代の土器片が発見された。だがその報告書には暦のことどころか、太陽光のことは一切記載されてはいなかった。それどころか、遺跡保護の名目で小林氏は行政から遺跡への立ち入り禁止を言い渡されたのであった。
 斉藤博士から引き継いだ後藤晶男氏によって小林氏は英国で「金山巨石群」として古代人が造った太陽観測施設で閏年まで観測可能な古代の天文台として紹介した。
やがて外国から研究者が訪れるようになり、地元も行政も観光施設として注目するようになった。小林氏は写真家の徳田紫穂氏らと協力して現地案内やWeb発信を続けている。
 
 太陽の運動をシミュレーション
太陽を、同一場所で同時刻に1年間観測すると8の字を描く。これをアナレンマという。毎正時の連続図と二十四節気を重ねると季節と時刻ごとに太陽の位置を知ることができる。これをモノサシに見なすと新たな発見が期待できます。講演では、思いがけない発見の話をしましょう。ピタゴラスの定理、これを縄文人が知っていたのです。

岩屋岩蔭の北斗七星
岩屋岩蔭遺跡の岩面に6個の小穴があり、ドイツから訪れた考古学のS.メーダー博士が落石に隠れたところから7個目を発見した。7つの穴を繋ぐと北斗七星になった。ただこの形は空に現れる北斗七星とは違って逆向きであった。
 なぜ逆向きなのか、当初は分からなかった。
私、樋口は当時パチンコソフトの開発会社に勤務していて、2000年対応の忙しさから病気を患い、医者の勧めでプラネタリウム巡りをしていた。天文を通した友人から金山巨石群の話を聞き、現地を訪れていた。天文の師匠でプラネタリウム解説者の山田卓先生の話から、古代人の宇宙観を思い出し、当時の人たちの考え方を当てはめると、北斗七星逆向きの謎が解けてきた。
この続きは講演でお話します。